心不全
最近高齢の方の心不全が増えています。
心不全の予防には、生活習慣病の治療が重要です。
近年先進国の心不全の患者数は増加しており、米国では80歳以上では人口の約10%にみられるとの報告があります。日本でも最近高齢者の心不全が増加しています。
心不全の症状
心不全は、何らかの原因で、身体が活動するために必要な血液を心臓が送り出すことができない状態をいいます。
十分な血液を心臓が送り出すことができないため、全身のだるさや疲労感が起こります。
また左心室の上流に位置する肺に血液がうっ滞し、水分が染み出し、肺に酸素をとりこみにくくなります。そのため労作時の息切れ、呼吸困難が起こります。
また右心室の上流にあたる静脈もうっ滞し、足にむくみが出現します。
心不全の原因
心不全の原因には以下のようなものがあげられます。
- 高血圧
- 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
- 不整脈
- 心臓弁膜症
- 心筋症
この中で不整脈、心臓弁膜症、虚血性心疾患が最近増えており注目されています。
不整脈の中では高齢化とともに心房細動の患者数が増加し、心不全の合併が増えています。
心臓弁膜症では、加齢に伴う動脈硬化性の大動脈弁狭窄症が増加しています。
虚血性心疾患では心機能が低下した心筋梗塞後の患者数が増えています。
心不全の分類
以前は左心室の収縮能が落ちることにより心不全が発症すると思われてきました。
しかし最近になって、収縮能があまり落ちていないのに心不全になる症例が、心不全の半数近くに存在することがわかってきました。このタイプの心不全は高血圧のある高齢の女性に多く見られ、加齢等により心臓が固くなり、左心室の拡張能が落ちたため心不全になります。
心不全の検査
心電図により心臓の電気的異常が、胸部レントゲン写真により心臓の拡大や肺うっ血の状態がわかります。また心不全の原因となる病気を見つけたり、心臓の機能を評価するために心臓超音波(エコー)検査が有効です。
さらに血液検査で、心臓の負担が増えると上昇する物質(BNP)を測定することも、心不全の診断に有用です。
心不全の治療
心不全の生命予後は決して良いとは言えません。そのため早期からの治療が重要です。
心不全が発症した場合、厳格な塩分摂取制限とともに、体内の余分な塩分、水分を体の外に排出する薬や血管を拡張し心臓の負担をとる薬などを服用していくことになります。
しかし、心不全の発症よりも前に治療を始めることが重要です。
心不全を発症させないためには、原因となる心臓の病気を引き起こす生活習慣病の治療が重要です。