狭心症
心臓は1日に約10万回拍動し全身に血液を送り出しています。
全身の臓器は血液を介し酸素や栄養分の供給を受け、活動しています。
一方で心臓自身は心臓の表面を走る冠動脈から血液の供給を受け、活動しています。
狭心症は、何らかの原因で冠動脈が細くなり、心臓に運ばれる血液が少なくなることにより起こります。
狭心症の発作は通常15~30分以内で治まりますが、それ以上続くと心臓の細胞が壊死して、心筋梗塞となってしまいます。
原因
- 冠動脈に動脈硬化が起こり、血管の内側にコレステロールが付着して動脈の内側が細くなってしまう状態。
- 何らかのきっかけで冠動脈の一部が痙攣を起こし細くなってしまう状態。
の2つの原因があります。
症状
典型的な狭心症の症状は、胸が詰まる・締め付けられるような痛みです。
一方で心筋梗塞の場合は、胸の痛みがより強く、長く続き、重症不整脈、ショックなど生命にかかわる状態になることもあります。
検査
狭心症の検査には以下のようなものがあります。
心電図検査
発作による心臓の電気的変化を調べることができます。
エコー検査
局所的な心臓の壁運動の低下と全体の心機能を評価できます。
CT検査
造影剤を点滴し、冠動脈に狭い部分がないかどうか調べます。
カテーテル検査よりも負担を少なく行うことができます。
心臓カテーテル検査
細い管を動脈を介して冠動脈まで到達させ、造影剤を使用して、血管が狭くなっているかどうか調べます。
通常入院で行う検査です。
治療
冠動脈の動脈硬化による狭心症の治療には薬物療法、カテーテル治療、手術があります。
薬物療法
冠動脈を広げる薬を用いて、心臓の血流を良くしたり、血圧や心拍数を下げることにより、心臓の負担を減らす薬を使用して、症状を緩和することができます。
カテーテル治療
細い管を、動脈を介して冠動脈に入れ、狭くなった場所を広げ、多くはステントを留置して治療します。
手術
狭くなっている血管の数や場所によっては手術が必要になります。
冠動脈以外の血管を冠動脈につなげ、血液を流すバイパス手術を行います。
冠動脈の痙攣による狭心症の場合は、薬物治療を行います。
予防
狭心症も心筋梗塞も、動脈硬化が大きな原因です。
動脈硬化の主な要因として
- 高血圧
- 糖尿病
- 高脂血症
- 喫煙
- 肥満
があります。
これらは生活習慣に大きく関係しており、日ごろからのケアが重要になってきます。
糖尿病では血糖、HbA1cが、高脂血症ではLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪が評価の指標になります。
また、喫煙は動脈硬化の大きな原因になります。禁煙は非常に重要です。
適度な運動も動脈硬化を防ぐために効果的です。筋力トレーニングのような大きな負担をかけるものではなく、ウォーキングのような有酸素運動が望ましいです。
動脈硬化は血管の老化と考えられ、誰にでも起こりうるものです。
胸の痛みなど疑わしい症状を感じたら、様子を見たり我慢したりず、早めに診察を受けるようにしましょう。