症状が出てなくても油断大敵!高血圧症
長期間血圧が高い状態が続くことを高血圧症といいます。
高血圧症になっても、すぐには自覚症状が出ない場合が多いですが、この状態が長く続くと、血管に負担がかかり、いろいろな臓器でトラブルを引き起こします。
中でもダメージを受けやすいのが心臓・脳・腎臓です。
高血圧症になると、心不全・心筋梗塞・脳卒中(脳梗塞・脳出血)や腎不全といった生命を脅かすような病気になる確率が高くなります。
また血管に常に負担がかかるため、血管が硬くなり、動脈硬化も進行しやすくなります。
高血圧の症状
高血圧はサイレントキラーとも呼ばれ、症状がほとんど表れません。
高血圧と診断される直前から肩こりがひどくなった、頭痛がするようになったという方もいますが、無症状の場合も多いです。
健康診断や、自分で血圧を測定して見つかることも多いですが、症状が軽いため診察を受けないまま放っておいてしまう方が多いです。
高血圧を引き起こす危険因子
塩分の摂りすぎや肥満、喫煙などが高血圧の主な危険因子です。
高血圧は生活習慣の影響が大きいため、生活環境をきちんと整えることによりコントロールすることができます(正常な血圧に保つことができる場合もあります)。
心臓や血管を健康に保つための治療
高血圧の治療は、まず第一に生活習慣を改善することです。
その基本は、減塩、適度な運動、減量、節酒、禁煙です。
高血圧治療の目的は、血圧を下げることそのものではなく、将来の心臓や血管の病気の予防すなわち心疾患(心不全・心筋梗塞)や脳卒中(脳梗塞・脳出血)を防ぐことにあります。
具体的な治療は、血圧の高さのレベル、また高血圧以外の心臓や血管の病気のリスクがどのくらいあるかによって分けられ、治療方法は変わってきます。
高血圧治療ガイドライン
2019年4月に日本高血圧学会より新しい高血圧治療ガイドラインが発表されました。
それによると高血圧症の降圧目標値は、診察室血圧が75歳未満は130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満、75歳以上は140/90mmHg未満、家庭血圧135/85mmHg未満に変更されました。
今迄に比較して、降圧目標値が収縮期、拡張期とも10mmHg低くなっています。
これは様々なデータの積み重ねにより、降圧目標を130/80mmHgにした方が脳心血管イベントの発症リスクが少ないことが根拠になっています。
従って脳心血管病リスクが低リスク、中等リスクの方は、まず上記降圧目標を目指し生活習慣の改善を行い、十分に血圧が下がらなければ、薬による治療を開始することになります。
一方で高リスクで重症高血圧であれば生活習慣の改善と同時に薬による治療を開始します。